離婚の財産隠しはバレる?|財産分与時の通帳開示について

離婚とお金

離婚を切り出す前に、知っておくべきこと

財産を隠されてしまうと、簡単には調べることができない

離婚時は誰しも感情的になってしまいますが、怒りに任せて離婚を切り出してはダメです。離婚を切り出すのは、財産分与の対象となる財産をきちんと知ってからにしましょう。

というもの、財産分与をしたくないあまり、配偶者が財産を隠してしまうことも珍しくないのです。一度財産を隠されてしまうと簡単には調べることができません。裁判での強制調査などもありますが、時間も費用もかかります。

一番大切なことは「財産隠しにどのように対処すればよいのか?」ではなく、隠される前に対処してしまうことです。財産隠しをされる前に、財産状況を把握しておくのがベストです。

たとえ隠し財産があることがわかっても、罪には問われない

「財産隠しって泥棒じゃないの?」と思うかもしれませんが、財産隠しは罪に問われません。親族相盗例といって、親族間の窃盗剤などは刑が免除されるのです。

しかしこれは刑事上の話。財産隠しは刑事罰には問われませんが、民事上の責任はあります。財産隠しによって本来の財産分与を受け取れなかった場合には損害賠償請求が可能です。

ただし、財産分与のやり直しは離婚成立から2年以内に行わなくてはいけません。財産分与の請求権は2年で時効を迎えるため、それ以降に財産隠しに気付いたとしても、もう請求することはできません。

調査が必要なのは、財産分与の対象である「共有財産」

財産分与の対象は、婚姻期間中に夫婦で取得し維持してきた「夫婦の共有財産」です。贈与や相続などで個人的に得た財産や結婚前から有していた財産は「特有財産」といい、財産分与の対象ではありません。

つまり、たとえ共有財産以外の財産を隠されても財産分与に影響はないので、調査は不要です。たとえば、結婚前に夫が相続した家は夫の特有財産ですから、特に調べる必要はありません。

しかし結婚後に夫婦で買った車は共有財産であり、名義がどうあれ財産分与の対象です。現在の価値を調べておきましょう。

 

財産隠しの方法と財産隠しが起きやすい夫婦の特徴

よくある財産の隠し方

財産隠しは結構簡単にできてしまいます。

よくあるのが、配偶者の知らない銀行口座に隠す方法です。隠し口座は存在自体がわからないため、なかなか見つけることができません。

古典的ですが、家具の中にへそくりやタンス預金を隠す人もいます。タンス・机・戸棚・本棚・ベッドの下・絵画の裏などがよくある隠し場所で、意外と見つけにくいので注意が必要です。

万全を期して、貸金庫に隠す人もいます。金や貴金属に換えて貸金庫に預けるケースもあり、一度貸金庫に隠されてしまうと弁護士などの専門家でも調査が難しくなります。

知人や親族の口座に複数回に分けて一時的に預ける方法もあります。知人や親族の通帳を見ることなんて通常できませんし、小分けで送金されるため見つけるのがとても難しいです。知人や親族がこっそり使い込むケースも少なくないため、気付いたときには財産がなくなっていることもあります。

財産隠しが起きやすい夫婦の特徴

離婚するくらいですから、あいつになんて一銭もあげたくないという気持ちがあって当然です。普段誠実な人でも財産隠しに走る可能性がありますが、特に財産隠しが起きやすい夫婦の特徴があります。

  • 共働きで通帳を別々に管理している場合
  • 明らかに富裕層の場合
  • モラハラ系の夫の場合

共働きの場合は一定額を家計にいれて残りはそれぞれが管理していることが多く、この場合は財産を隠しやすい上、隠されたことに気付くことさえ難しいです。

明らかに富裕層の場合は財産分与の額もけた違いになるため、少しでも額を減らしたいと財産隠しに走りがちです。富裕層は弁護士などの専門家が財産管理を行っていることも多く、巧妙かつ合法的に隠されてしまうこともあります。

もっとも注意すべきはモラハラ系の夫の場合です。モラハラとはモラルハラスメントのことで、家庭内で妻に倫理や道徳に反した嫌がらせをするような夫は、財産隠しも嫌がらせの一環としてやりがちです。

モラハラ夫は外ヅラが良くてずる賢くおまけに口が上手いため、本性を知らない人からはとても信頼されて好かれやすいという特徴があります。言葉巧みに妻を悪者にして知人を味方につけ、知人の力を借りて財産を隠したりします。

財産隠しを疑っている場合の対応|仮差押・審判前の保全処分

調停で、財産隠しを公にすることは可能か?

離婚は通常は夫婦の話し合いで行われ、これを協議離婚といいます。財産分与も協議が基本ですが、決着がつかなかった場合には家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。

離婚調停とは裁判所が間に入った話し合いのことで、離婚するかしないかだけでなく、財産分与などの離婚条件についても調整します。調停でも決着がつかなかった場合には離婚審判となり、裁判官の決定によって離婚の可否や条件が決まります。

調停も審判も裁判ではないため、財産隠しを公にするのは難しいです。また、離婚調停内で財産について虚偽の発言があったとしても、偽証罪などの罪に問うことはできません。

一度財産隠しをされてしまうと、裁判所でさえ明らかにすることが困難なのです。

仮差押・審判前の保全処分とは

離婚審判は数カ月以上かかるため、その間に財産隠しや使い込みをされるおそれがあります。そこで、審判が下る前に財産を確保する「保全処分」を行い、配偶者が手を出せないようにしておく必要があります。

この審判前の保全処分のことを「仮差押」といいます。本来は審判に基づいて財産を差し押さえるべきなのですが、財産隠しなどを防ぐために、事前に仮に差し押さえておくのです。

仮差押のメリット・デメリット・注意点

仮差押をしておけば、使い込みや財産隠しなどを防止することができます。財産が破壊される心配もなくなるため、確実な財産分与のためには有効な手段です。

しかしデメリットもあります。仮差押をされた財産は裁判所の管理となるため、離婚するまでは財産を引き出すことができなくなります。また一定額の担保金も必要です。

仮差押はすでに隠されてしまった財産を調査して見つけてくれるわけではない点に注意しましょう。仮差押したい財産はすべて自分で調査し、裁判所に申し出なくてはいけません。また、仮差押は仮とはいえ強制的な処分のため相手の怒りを買いやすく、離婚がスムーズに進まなくなる可能性もあります。

メリットとデメリットをよく比較し、相手の性格なども考えながら上手く利用しましょう。

 

通帳・銀行口座の開示をする3つの方法とメリット・デメリット

財産を調査するために、通帳と銀行口座の開示が必要な場合があります。通帳と銀行口座を開示する方法は3つあります。

弁護士会照会制度(23条照会)

弁護士は必要に応じて銀行口座の開示請求をすることができます。これは弁護士法第23条の2に規定されており、通称23条照会といわれています。

金融機関に情報開示の義務はありませんが、債務の存在を確認できる文書を示せば、銀行も対応するよう近年変わりつつあります。

ただ現状では、金融機関は預金者の秘密保護などを理由に口座名義人の同意を要求し、拒否する傾向にあります。UFJやみずほ銀行などのいわゆるメガバンクでは照会に応じるケースも最近増えてきており、今後は照会に応じる銀行が増えていくのではとみられていますが、まだ拒否する金融機関が多い印象です。

裁判所の調査嘱託をする

調査嘱託とは裁判所の手続きのひとつで、裁判所は金融機関などに必要な調査を嘱託することができます。これを利用して、配偶者の隠し口座などを調査することができます。

しかし、裁判所は銀行口座の所在を把握する手伝いはしてくれません。調査嘱託を申し立てるには自力で口座の存在を調べ、銀行名だけでなく支店名も特定して行う必要があります。

探偵に依頼する

財産預金調査に対応している探偵に依頼するのもひとつの方法です。しかし探偵への依頼料は高額なことが多く、信頼できる探偵を見つけるのも大変です。

 

まとめ

一度財産を隠されてしまうと、簡単には調べることができません。財産隠しは罪ではなく、民事上の請求にも2年という時効の壁があります。隠される前に財産を把握することが大切です。

財産隠しの可能性がある場合は、仮差押や弁護士会照会制度などが利用できます。しかしどの方法も確実ではなく、また隠し財産の所在自体は自力で見つけなくてはいけません。

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